AIの誤情報で自社が別の会社と説明されていたら|直し方と、測り直しの記録

AIに自社のことを聞いたら、身に覚えのないサービスと実績が並んでいた。弊社で実際に起きたことです。
2026年に入ってから、AI検索が実在する会社について事実でない説明をした、というAIの誤情報の報道が続いています。7月には、グーグルのAI検索が岩手県の会社について事業を停止したという事実でない回答を出し、参照元として示された地元紙は、そのような報道をしていなかったことが報じられました。5月にも、存在しない事業や閉店の扱いをされた企業が振り回されている実態が報道されています。
結論から書きます。原因は、自社サイトの中で情報が1つの会社として結びついていなかったことだと考えています。6か所に手を入れた24日後に同じ質問で測り直すと、その日の回答では別の会社の話は出てきませんでした。ただし、それが修正のおかげなのかは分かりません。

悪い人を探しても、このAIの誤情報は止まりません
AIの誤情報とは、AIが事実に基づかない内容を、事実であるかのように答えてしまうことです。もっともらしい嘘が作られる現象は、ハルシネーション(幻覚という意味の英語です)とも呼ばれます。ただ、名前がついているからといって、こちらから止められるものではありません。
この種の誤りは、多くの場合、誰かが仕掛けたものではありません。
AIは、社名という文字列を手がかりに、ネット上の情報を集めて回答を組み立てているように見えます。このとき、同じ読みの会社、似た社名の会社、同姓同名の人物の情報が混ざることがあります。人間なら「この会社の話をしているのに、なぜ身に覚えのない実績が出てくるのか」と気づきますが、AIのほうは、会社を1つのまとまりとして識別できていないと、そこで止まれないのだと思います。
中の仕組みを見たわけではないので断定はできません。それでも、AIから見て自社が1つの会社としてはっきり結びついていない状態が、取り違えの起きやすさにつながっていると考えています。悪意ある誰かを探しても解決しないのは、このためです。
同じことは検索窓の予測変換でも起きていて、弊社の社名を打つと、読みの近い無関係の法人が並びます(サジェスト汚染とは?に書きました)。
7月30日、弊社に何が返ってきたか
やっていたのは、自社について10通りの質問を作り、ChatGPTの回答を1つずつ記録する作業です。「どんな会社か」「誰に向いているか」「代表者はどんな経歴か」といった、実際にお客様が聞きそうなことを並べました。
返ってきた回答は、情報が足りない、確認できない、というものか、サイトの一部だけを見て答えたようなものが中心でした。代表者が代表者だと確認できない、という回答もあり、これはこれで直すべきものでした。
そのなかでいちばん重かったのが、8問目の「相談する前に確認すべきこと」を尋ねた質問です。
返ってきた回答には、具体的なサービス内容と、実績と、担当メンバーの構成まで書かれていました。一見すると、よく調べられた親切な回答です。ただ、そこに書かれていたことは弊社のものではありませんでした。読みが同じ、別の会社の情報でした。相手の会社に落ち度はありません。AIが、2つの会社を1つの会社として説明していました。
画面をしばらく眺めて、どこから直せばいいのか見当がつきませんでした。
もしこの回答を読んだ方が、そこに書かれた内容を期待して弊社に問い合わせていたら、話が噛み合わないまま終わっていたはずです。逆に、相手の会社にとっても、自社の実績が知らないところで別の会社の説明として使われていたことになります。どちらにとっても損しかありません。
なお、この記事に相手の社名とサイトは書いていません。名前を出さなくても、起きたことと直したことは説明できます。
8月2日に手を入れた6か所
8月2日に、6か所に手を入れました。すべて自社サイトの中の作業で、新しい記事も広告も増やしていません。
- 会社概要のページで、法人と代表者を結びつけた。 誰が代表で、どの法人のことなのかを、人が読む文と、機械が読む印の両方で書きました(会社概要がその実物です)。サイトの中身に手を入れる作業なので、制作会社かサイト担当者に頼む範囲です。
- 代表者の公式プロフィールと、外部サイトに載っている評価をつないだ。 自己申告だけでなく、外から確認できる情報と結びつけました。外部サイト側の表記は、自社で直せます。
- サービスページ6枚すべてに、提供元が誰なのかを書き足した。 それまではページごとに情報が孤立していて、どの会社のサービスなのかがページ単位では分からない状態でした。ページに1行足すだけなので、更新できる人がいれば自社で対応できます。
- AI向けの案内ファイル(llms.txt。サイトの内容をAIに説明するための仕組みです)の会社情報を最新にした。 まだ普及途上のもので、まず用意すべきものではありません。弊社は既に置いていたので中身を直しただけです。ファイルの差し替えなので、サイト担当者の範囲になります。
- 問い合わせページのタイトルが、他のページと重複していないかを確認した。
- トップページの代表者情報が、法人情報と正しくつながっているかを確認した。 5と6は、どちらも管理画面から自社で確認できます。
6つのうち、効いたとすれば1と3だと思っています。会社概要とサービスページは、AIが先に読みにいく場所だと思っているからです。5と6は、ついでに済ませた点検です。
やったことを一言でまとめると、バラバラに置いてあった自社の情報を、1本の線でつないだことになります。
8月26日、同じ質問をもう一度しました
修正から24日後、7月30日とまったく同じ質問を、同じサービス(ChatGPT)の一時チャットでもう一度投げました。
このとき気をつけたことがあります。普段使っているログイン状態のままでは測らない、ということです。自分のアカウントで質問すると、過去のやり取りが効いて、自社に都合のいい回答が出ることがあります。別のときに、別のAIで条件を変えて比べたときも、ログイン状態では自社名が出るのに、条件を揃えると出ないということがありました。履歴の影響を受けない状態で聞くほうが、実際の見え方に近づきます。
結果です。この日の回答では、取り違えは起きませんでした。
参照されていたのは弊社の公式サイトでした。料金についても、一律の料金は公開せず支援の範囲ごとに見積もる方針だと、実際の書き方どおりに説明されていました。
ただし、これが修正のおかげなのかどうかは分かりません。AI側の仕組みが変わっただけかもしれず、そこは切り分けられません。
AIの誤情報を自社で確認する3つの手順
同じことを自社で試すのは難しくありません。特別な道具もいりません。
1. 質問を先に決めて、書き出しておく。 思いついた順に聞くと、次に測ったときと比べられなくなります。先ほど挙げた3つを、そのまま使っても始められます。取り違えは、会社の細かいところを聞いたときに出やすい印象があります。
2. 履歴の影響を受けない状態で開く。 ChatGPTなら一時チャット、他のサービスでも似た名前の機能が用意されています(設定やメニューで「履歴」という言葉を探してください)。見つからなければ、ログアウトした状態か、普段使っていないブラウザで開くだけでも代わりになります。そこへ①で決めた質問をそのまま貼ります。
3. 回答を保存して、日付を書いておく。 スクリーンショットを撮るか、回答の文章をコピーしてメモに貼ります。ファイル名かメモの1行目に「2026-08-26 質問1」のように日付と質問番号を入れておくと、次に比べるときに探せます。
見つけたあとの、3つの分かれ道
見つかったAIの誤情報は、大きく3つに分かれます。ここで、自分でできることと、人に頼む話が分かれます。
事実と違うことが書かれている場合。 まず、自社の公開情報にその答えが書かれているかを確認します。書かれていなければ、AIは他所から拾ってくるしかありません。ページに書き足すだけなら、自社で対応できます。
古い情報のままの場合。 移転や事業内容の変更が反映されていないケースです。公式サイトの更新と、外部サイトに残っている古い情報の訂正依頼で、自社で進められます。
別の会社と混ざっている場合。 弊社に起きたのはこれです。サイトの作りに関わるので、制作会社かサイト担当者に相談する話になります。そのとき、保存した回答と日付をそのまま見せると話が早く進みます。
同じ測り方を、お客様の会社でもしています
弊社の風評被害対策では、社名で調べられたときの見え方を定点で記録しています。この記事に書いたやり方は、そのうちAIの回答について、自社を相手にそのまま実行したものです。ほかに何を見ているかは、サービスのページに書いています。
AIにどう書かれるかは、こちらの意思では動きません。それでも、書かれる材料をこちらで整えることと、変わったかどうかを記録に残すことは続けられます。うまくいかないことも、時間がかかることも、自分たちで通しているのでそのままお伝えします。
AI検索に見つけてもらう側の考え方はLLMOとは?に、その支援の中身はAI検索・LLMO対策にまとめています。この記事は、誤りを正す側の話です。
AIの誤情報についてよくある質問
社名は合っているのに、事業内容だけが違っていました。これも同じ話ですか
同じ根から起きています。社名は拾えていても、その社名と事業内容を結ぶ材料が見つからないと、近いところにある別の説明で埋まります。確認の順番は本文と同じで、まず自社の公開情報にその答えが書いてあるかを見てください。
AIの回答に事実と違うことが書かれています。訂正を申し立てる先はありますか
検索結果のように、誤りを申し立てて直す窓口が広く用意されているわけではありません。何をするかは、本文の「見つけたあとの、3つの分かれ道」に書いたとおりです。
悪意のある誰かが情報を操作しているのでしょうか
その可能性がゼロとは言いませんが、多くは似た名前の情報が混ざっただけです。操作を疑うのは、検索結果や口コミにも同時におかしなものが出ている場合で十分です。原因になった相手を探すより、自社の情報が1つの会社として結びついているかを先に確認することをおすすめします。
どのくらいの頻度で確認すればいいですか
月に1回で足ります。大事なのは頻度ではなく、同じ質問と同じ条件を使い続けることです。条件が変わると、変化なのかブレなのかが分からなくなります。
ChatGPTと他のAIで、分けて測る必要はありますか
最初は1つで構いません。同じ会社について聞いても、サービスによって答えは違いますが、まず1つで記録を続けるほうが、変化を追えます。余裕が出てきたら2つ目を足してください。
直したのに変わらないときは、何が足りないのでしょうか
自社サイトの中だけで完結している場合が多いです。AIは外部からの言及も見ているので、公式サイト以外で自社が正確に紹介されている場所があるかどうかが効いてきます。ここは短期間では動きません。
小さい会社でも、やる意味はありますか
規模が小さいほど、情報量が少なく取り違えが起きやすいのではないかと考えています。大企業なら情報が多いぶん区別がつきますが、社名だけが手がかりの会社は混ざりやすいのが実情です。
まとめ:7月30日に見つけて、8月2日に直して、8月26日にもう一度聞きました
そして9月に、また同じ質問をします。AIの誤情報について弊社がやっているのは、これだけです。
AIがどう書くかは、こちらでは決められません。それでも、AIが読みにいく材料は自社サイトの中にあります。まずは自社の名前で一度聞いてみて、その回答を日付つきで保存するところからで十分です。おかしなところが見つかったら、そのときにご相談ください。
この記事で参照した報道
- 朝日新聞「グーグルAI検索、「岩手の会社が事業停止」と誤情報 参照元も憤り」(2026年7月16日・2026年8月26日確認)
- 読売新聞オンライン「AI検索の本物っぽい「うそ情報」、リアル企業を振り回す…実在しないサービスや勝手に「閉店」扱いも」(2026年5月10日・2026年8月26日確認)
