会社の口コミ対策|悪い口コミが付いたら、削除・返信・予防のどれから始めるか

従業員から「変な口コミが付いています」と報告が来た。開いてみると、星1が一番上にある。あるいは、自社の名前で検索していて、見覚えのない低評価に気づいた。この記事を開いたのが、そのどちらかの直後という方も多いはずです。
そして多くの方が、最初に「消し方」を調べます。事実と違うことを書かれて、平気でいられる経営者はいないからです。ただ、先にお伝えしておきたいことがあります。Googleの口コミは、内容が気に入らないという理由では消せません。削除の対象になるのは、Googleが定める投稿ルールに反した口コミだけです。つまり、悪い口コミの多くは「消えない前提」で向き合うことになります。
消えないなら打つ手がないのかというと、そうではありません。実際に打てる手は、削除の報告・返信・予防の3つに分かれます。そして多くの場合、主役は返信です。この記事では、この3つをどの順番で進めるかと、返信文の作り方を具体的に説明します。返信文で手が止まっている方は、返信の章から読み始めていただいても分かるように書いています。
悪い口コミに気づいた最初の1時間。返信の前にやること3つ
口コミに気づいた直後は、判断を誤りやすい時間帯です。返信を書く前に、やっておくことが3つあります。
- 返信はいったん保留する。 感情が動いているうちに書いた返信は、内容が正しくても言い方がきつくなります。返信は公開されて誰でも読めるうえ、公開されると投稿者へ通知も届きます。勢いのまま書いた文面から先に読まれてしまうので、急ぐ必要はありません。
- 画面を保存する。 スマートフォンのスクリーンショットで構いません。投稿の内容・投稿者名・日時が分かる形で記録しておくと、後で削除の報告(ルール違反の口コミをGoogleに知らせて、削除の判断を求めること)をする場合や、専門家に相談する場合の材料になります。
- 事実関係を確認する。 書かれている出来事が実際にあったのか、現場に確認します。返信の内容も、削除を報告できるかどうかの判断も、ここが出発点です。
やってはいけないことも1つあります。投稿者への直接の抗議や、身元の詮索です。相手を特定して連絡を取ると、そのやり取り自体が新しい投稿の材料になり、話が大きくなりがちです。
口コミ対策の全体図。打ち手は3つに分かれます
会社の口コミ対策とは、ルール違反の口コミを削除の報告で正し、消えない口コミには返信で向き合い、良い口コミが自然に集まる予防の仕組みを作るという、3つの打ち手で自社の評価を守る取り組みです。

順に見ます。
1つ目は、削除の報告です。 ただし対象は限られます。嫌がらせや事業と無関係な内容、事実に反する投稿、立場を隠した投稿(同業者がお客様のふりをして付けた低評価など)といった、Googleの投稿ルールに反するものだけが削除の対象です。単に評価が厳しい、言い方がきつい、という口コミは対象になりません。どんな口コミなら報告が通るのか、手順と通らなかったときの動きは、Googleの口コミは削除できる?削除依頼が通る基準と手順に分けてまとめています。
2つ目は、返信です。 消えない口コミに対して、事業者側ができる唯一の公式な意思表示です。この記事の本題なので、次の章で詳しく書きます。
3つ目は、予防です。 良い口コミが自然に集まる仕組みを作り、1件の悪い口コミの重みを下げていく打ち手です。効果が出るまで時間はかかりますが、悪い口コミが「目立ちにくい」状態は、この積み上げでしか作れません。やり方は、Googleの口コミを増やす方法に書いています。
3つのうち、どれか1つを選ぶのではありません。報告できるものは報告しつつ、返信を書き、並行して予防の仕組みを整える。この順番で進めるのが基本形です。
悪い口コミへの返信。書き方の型と、やってはいけないこと
返信を主役と言い切るのには理由があります。口コミの読み手は、書いた本人だけではないからです。これからお店や会社を選ぼうとしている人が、評価の低い口コミとセットで、事業者の返信を読みます。悪い口コミが1件あることよりも、それが返信のないまま放置されていることのほうが、これから選ぶ人には不安に映りやすいものです。
返信を書き込む場所は、Googleビジネスプロフィール(お店や会社の情報を地図や検索に無料で表示するGoogleのサービス)の管理画面です。オーナー確認がまだの会社は、先にそこを済ませてください。ログインすると、口コミごとに返信欄が出てきます。
返信の型は4つの部品でできています
うまい返信を書こうとする必要はありません。次の4つを、この順番で短く置いていくと、読み手に伝わる返信になります。
- 利用への言及とお礼。 来店や利用の事実に触れて、時間を割いて書いてくれたことに礼を言います。形式的に見えても、ここを飛ばすと残りが言い訳に見えます。
- 受け止める範囲を決めて、詫びる。 事実として起きていたことには、はっきり詫びます。事実確認が取れていない部分まで詫びる必要はありません。「ご不快な思いをさせたこと」への謝罪と、「書かれた内容がすべて事実だと認めること」は別です。
- 改善のかたちを1つ示す。 「社内で共有します」で締めず、変えたこと、または変える予定を1つ、具体的に書きます。1つで十分です。並べるほど嘘っぽくなります。
- 窓口を開いて締める。 続きの話があれば直接聞く姿勢を示します。問い合わせ先を添えるのはよいですが、詳細なやり取りは口コミ欄の外へ移します。
4つをつなげると、たとえばこうなります。架空の例なので、そのまま使わず、場面と直した内容を自社の事実に置き換えてください。事実と違う部分が1つでもあると、定型文の貼り付けと同じに見えます。
このたびはご利用いただき、また率直なご意見をお寄せいただきありがとうございます(①)。お待たせする時間が長くなっていた点は、当日の受付体制に不備があり、申し訳ありませんでした(②)。いただいたご指摘を受けて、混み合う時間帯の受付人数を見直しました(③)。ほかにもお気づきの点がございましたら、店頭またはお電話で直接お聞かせください(④)。
逆に、こう返すと逆効果です。
ご指摘の内容は事実と異なります。当店ではそのような対応はしておりません。
本人への反論にはなっても、これから選ぶ人への説明になっていません。読み手が知りたいのは、勝ち負けの行方ではなく、この会社が指摘にどう向き合うかです。
書いてはいけないこと
返信で信頼を失うのは、たいてい次のどれかです。
- 反論と論破。 事実誤認を細かく指摘して言い負かす返信は、本人には効かず、読み手を遠ざけます。事実と違う点は「弊社の記録では確認できませんでした」と短く残すにとどめます。
- 投稿者の情報を明かすこと。 来店日時や注文内容、氏名などを返信に書くと、相手を特定する行為になります。事実確認のためでも、公開の場に書いてはいけません。
- 全件同じ文面の貼り付け。 定型文のコピペ返信は、読んでいないことが一目で分かります。短くてよいので、投稿の中身に触れた一文を必ず入れます。
- 見返りの提案。 「次回お値引きしますので」といった申し出は、投稿の書き換えを促す行為と受け取られかねません。口コミへの対応と補償の話は、切り分けます。
返信しない、という判断もあります
すべての口コミに同じ熱量で返信する必要はありません。明らかな嫌がらせや、事業と無関係な投稿は、報告を済ませたうえで、返信を短くするか、返信しない判断もあります。攻撃的な相手との公開のやり取りは、長引くほど読み手の印象を下げるためです。
削除と業者依頼は、どこまで頼れるか
返信と並行して、削除の報告や外部への依頼を検討する場面もあると思います。ここは短く、線引きをお伝えします。
報告は、返信と同じGoogleビジネスプロフィールの管理画面から、事業者自身で行えます。費用はかかりません。報告して消えるかどうかはGoogleの判定次第で、通らないことも多い、というのが実情です。
外部に頼る場合は、依頼する相手によってできることが法律で分かれています。投稿の削除をサイト側と交渉する行為を、報酬を受けて業として代理で行えるのは、弁護士に限られるとされています(弁護士法のルールです)。「削除保証」「必ず消せます」をうたう専門業者には、この線を越えているものが混ざるため、注意が必要です。一方、返信文の作成支援や、予防の仕組みづくり、状況の測定といった運用面は、弊社のような支援会社が担える領域です。誰にどこまで頼めるのか、契約前に確認すべきことは、風評被害対策会社の選び方と費用相場にまとめています。
良い口コミが集まる仕組みで、1件の重みを下げる
返信まで済ませたら、最後は予防です。悪い口コミそのものを防ぐことはできませんが、満足したお客様の声が継続的に集まっていれば、1件の低評価が全体の印象を左右する場面は減っていきます。
ここで1つ、急ぐほど間違えやすいところがあります。割引や粗品といった見返りと引き換えに口コミを頼むことです。金額の大小にかかわらずGoogleのルール違反で、見返りを渡したことを隠したまま投稿させると、2023年10月に始まったステマ規制(宣伝と分からない形の宣伝を禁止する景品表示法上のルール)にも触れ得ます。実際に、国内で行政処分を受けた事業者も出ています。
やることは、会計時や納品後に口頭でお願いする、案内カードやQRコードで導線を作る、もらった口コミに返信する。この繰り返しです。時間はかかっても、この形で集まった口コミは削除やペナルティの心配がありません。具体的な手順は、見返りなしで口コミを依頼する方法と、やってはいけない線引きをご覧ください。
風評被害対策の中で、口コミをどう扱っているか
弊社の風評被害対策では、口コミ単体ではなく、社名で調べられたときに何が出るかという単位で現在地を測っています。検索結果と、検索窓に出る候補(予測変換)、地図の評価と口コミ、そしてChatGPTなどのAIに社名を聞いたときの回答。ここまで測ったうえで、報告できるもの・返信で向き合うもの・仕組みで防ぐものに仕分けして、どれにどれだけ手をかけるかをご提案します。削除をお約束することはできません。代わりに、その配分と根拠を隠さず共有しながら進めます。
会社の口コミ対策についてよくある質問
悪い口コミに返信すると、かえって目立ちませんか
返信で口コミの表示が優先される仕組みは、Googleの公式情報では示されていません。むしろ返信のないまま並んだ低評価は、読み手の想像だけで結論が出てしまいます。落ち着いた返信を1本添えて、判断材料をこちら側からも渡してください。
返信はどのくらい早く書くべきですか
急がば回れです。事実確認を済ませてから、数日以内を目安に返信できれば十分です。数か月前の口コミに今から返信しても遅すぎることはありません。放置をやめた時点が、いちばん早いタイミングです。
明らかな嫌がらせにも返信が必要ですか
まず管理画面から報告してください。判定を待つ間に返信する場合は、事実として確認できない内容であることを短く冷静に残す程度にとどめます。攻撃に攻撃で応じるやり取りは、読み手の印象を下げるだけです。
星だけで本文のない低評価には、何を書けばいいですか
内容が分からないので、利用への礼と、お気づきの点があれば直接聞かせてほしいという窓口の案内だけで構いません。2〜3行で十分です。本文がない口コミは違反の根拠を示しにくく、報告が通りにくいのが実情なので、短い返信で締めて先へ進むのが現実的です。
返信を外部の会社に任せてもいいのでしょうか
文面づくりの支援を受けることは、よくある形です。ただし返信は事業者名義で公開される言葉なので、現場の事実確認を挟まず全件を丸投げすると、定型文化して逆効果になりがちです。型と基準を一緒に作ってもらい、最終確認は自社で行う形が安全です。
昔の悪い口コミがずっと上位に表示されます。どうにかなりませんか
表示の並び順を事業者側で操作することはできません。できるのは、その口コミに返信を残すことと、新しい口コミが継続的に集まる状態を作ることです。時間はかかりますが、新しい声が増えるほど、古い1件が最初に目に入る場面は減っていきます。
日々の口コミの管理は、何をすればいいですか
新着に気づける通知設定、返信の型と担当者を決めること、月に1回の見直し。この3つで十分です。専用の管理ツールがなくても、Googleビジネスプロフィールの管理画面だけで始められます。
まとめ:口コミ対策は、次に読む人への接客です
順番はこうでした。最初の1時間は記録と事実確認に使う。報告できるものは報告し、消えない前提で返信を書く。そして、良い声が集まる仕組みづくりに移る。この流れの中心にあるのは、投稿した人との勝ち負けではなく、これから自社を選ぶかどうか迷っている人への接客です。
返信文がどうしても決まらない、そもそも何件が対象か分からない。そんな状態でも、現状を測るところからなら始められます。お困りでしたら、状況だけでもお聞かせください。
参考にした公式情報
- Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」 https://support.google.com/business/answer/4596773
- Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」 https://support.google.com/business/answer/3474050
- Googleマップ「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」(禁止または制限されているコンテンツ) https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/

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