インタビュー記事の書き方|質問リストと、取材当日から原稿にするまで

取材が終わったあと、録音を再生して手が止まることがあります。1時間近く話してもらったのに、原稿に使えそうな言葉が数行しか見つからない。よくあることですし、聞き方が下手だったせいとも限りません。

インタビュー記事が形になるかどうかは、当日の話術より前、質問を用意する段階でだいたい決まっています。誰に読ませる記事なのか。読んだ人の中に何が残ればいいのか。この2つが決まっていないと、質問は「ご経歴を教えてください」から先へ進みません。それは、答える側にとっても答えにくい問いです。

そもそも取材の前の段階で、ページに載せる文章と写真が集まらずに止まっている場合は、ホームページの原稿が書けない・写真がないのほうが近い話です。

この記事では、インタビュー記事の書き方を、取材の前、当日、原稿にするまでの順にまとめました。社員インタビューや代表インタビューでそのまま使える質問リストの見本、話し言葉をどこまで直すかの線引き、取材される側が言い出しにくいこと、自分で書くか頼むかの分かれ目までを含みます。社外の相手への取材でも、社内の相手への取材でも、同じ進め方で通せます。

弊社の代表は、取材して記事を書く側と、自分の名前と顔写真が他社の媒体に載る側の、両方を経験しています。両側から見えたことも、途中に挟みます。

お客様の導入事例をこれから作る場合、進め方の全体像と費用の考え方は導入事例の作り方に、掲載許可のもらい方と依頼メールの文面は導入事例の依頼メール例文4通にまとめてあります。この記事はそのうち、取材そのものと、原稿にするまでを扱います。

目次

取材の前に決めるのは、この2つだけです

決めるのは、誰に読ませるかと、その人の中に何が残ればいいか。この2つです。

同じ社員インタビューでも、採用に応募するかどうか迷っている人に読ませるなら、入社前に不安だったことと、入ってみて違った点が要ります。取引を検討している会社の担当者に読ませるなら、頼んだあとに何が起きたかのほうが要ります。読ませたい相手が決まると、聞くことが決まり、同時に聞かなくていいことも決まります。

決め方は、1文にしてみるのが早いです。「はじめての転職を考えている人が、ここなら聞きながら覚えられそうだと思える状態にする」。このくらい具体的でいいと思います。文にできないうちは、取材の日を決めても質問が固まりません。

弊社が合同会社壱工房様の事例でインタビュー動画を作ったときは、動画にサービスの説明を入れないと先に決めました。石狩市を中心に、大工が自分たちで直接リフォームと木造小屋を請け負っている会社です。残したかったのは、どんな人が見積もりに来るのかということだけでした。事業の中身はこれから動く可能性があり、そのたびに作り直さずに済むようにするためでもあります。何を残すかを先に決めたので、聞かないことも決まりました。

質問リストは、全部聞くために作るものではありません

インタビューの質問リストを用意すると、つい上から順に消化したくなります。ただ、それをやると、相手の答えを聞かずに次の質問を読むことになります。リストは、話が途切れたときに戻る場所として持っておくくらいがちょうどいいです。

社員インタビューと代表インタビューの質問リストの見本。最初に聞く3問、社員インタビューの6問、代表・創業者インタビューの5問、最後に聞く1問を並べた図
図1:取材の質問リストの見本。最初の3問と最後の1問だけは、どの取材でも外さない(弊社作成・2026年9月4日)

この中で外せないのは、最初の3問と、いちばん最後の1問です。最初の3問は事実を固めるためのもので、ここが曖昧なまま進むと、あとで原稿を書きながら確認の連絡をすることになります。最後の1問は、こちらが用意した枠の外にある話を拾うためのものです。実際、いちばん使える言葉はここで出てくることが多いです。

真ん中の質問は、相手や場面に合わせて入れ替えて構いません。お客様へのインタビューで何を聞くかは、課題から結果までの順番として導入事例の作り方に書いてあります。

当日は、最後の10分をあけておきます

60分の枠を取ったなら、本題は早めに切り上げる想定で組みます。残した時間は、聞き漏らしを戻すためと、相手が言い足りなかったことを出してもらうために使います。時間ぴったりまで質問を詰めると、この2つがどちらもできません。

冒頭で、録音してよいかを口頭で確認します。このやり取りごと録音に残しておくと、あとで確認するものが1つ減ります。写真を撮る場合も、このときに何枚くらい、どこで撮るかまで伝えておくと、相手が身構えずに済みます。

聞けなかったことは、3段階で戻します

  • その場で戻す:「さきほどの〇〇の話、もう少しだけ伺えますか」。話題が変わった直後なら、これで戻れます
  • 終わり際に戻す:「話し足りなかったことはありますか」の1問。ここで出てきた話は、たいてい記事の中心になります
  • 後日に戻す:メールで聞くのは1問だけにします。3問並べて送ると、返事が来るのが遅くなります

相手が黙ってしまうと、気まずいものです。ただ、沈黙は答えがないという意味とは限りません。どこまで話していいのかを測っていることも多く、後半でもう一度触れます。

同じ質問を、1人ずつ別に聞く

壱工房様の取材では、代表のおふたりを1人ずつ別に取材しました。2人並んで話してもらうと対談の形になり、人柄よりも会話のテンポのほうが記憶に残ってしまうからです。同じ質問をそれぞれに投げて、返ってきた答えをあとでつなぎました。

場所は、事務所ではなく作業場を選び、作業着のままで話してもらいました。手を動かしている場面を多めに撮り、そこに声を重ねています。何を残したいかが決まっていれば、場所と服装も自然に決まります。

複数人に登場してもらう記事では、この分けて聞く進め方が使えます。役職の上下がある2人を同席させると、下の立場の方の言葉が出にくくなることがあるためです。

録音は、3回に分けて通します

取材が終わってすぐ書き始めると、話の流れをそのまま順番に写すことになりがちです。話した順番と、読みやすい順番は別物なので、いったん分けて通します。

  1. 1回目は、全部を文字にします。 ここでは直しません。文字起こしのツールを使って構いません。誤変換も残したまま進めます
  2. 2回目は、使うところに印をつけます。 使わない部分も消さずに残しておくと、あとで戻れます
  3. 3回目に、印をつけたところだけを順番を入れ替えて書きます。 結論に近い言葉を前に出し、そこに至った話を後ろに置くと読みやすくなります

見出しは、相手が実際に使った言葉から取ります。こちらで要約した言葉に置き換えると、まとめとしては整いますが、その人らしさは消えます。

話し言葉を、どこまで直すか

そのまま文字にすると読みにくく、整えすぎると別人の文章になります。線引きの目安は次のとおりです。

直してよいところ 直さないところ
言いよどみ、繰り返し、語尾のばらつき 相手が選んだ言葉。言い換えずに残す
話した順番。読む順に並べ替える 事実関係と数字
主語の補い。誰の話か分かるようにする 断定の強さ。「たぶん」を勝手に消さない
社内でしか通じない略語への短い補足 相手が言っていないこと。足さない

いちばん事故が起きやすいのは、右側のいちばん下です。話の流れから察して1文足すと、その1文が確認の段階で問題になります。

話してもらった内容は、相手のものです

文化庁の著作権テキストでは、言語の著作物(※)の例として講演が挙げられていて、原稿のない講演も保護の対象になると説明されています。取材で話してもらった内容も、話した本人の側にあるものとして扱っておくと安心です。

※著作物:考えや気持ちを自分なりの形で表したもの。文章や写真などが当てはまります。

そのため、原稿は公開前に必ず本人に見てもらいます。このとき「全部見てください」と送ると、返事が遅くなりがちです。

インタビュー記事でとくに確かめたいのは、話し言葉を整えた箇所です。読み返して自分の口ぶりと違う、と引っかかる部分がないか。そこだけ先に聞きます。確認項目の全体と、掲載の許可をどう文面にするかは、導入事例の依頼メール例文4通にまとめてあります。

取材される側は、こういうことを気にしています

取材の記事を検索すると、聞く側の進め方はよく出てきますが、答える側が何を気にしているかはあまり書かれていません。弊社の代表も、名前と顔写真が外部の媒体に載っている側です。自分の顔が他社のページに残るとどう感じるかは、そこで分かりました。ここから挙げる4つは、社内の方に取材をお願いしてきた中で見えたものです。

お願いする側も気を使うところです。口に出しにくいのは、だいたい次の4つでした。

  • この写真でいいのか。 撮り直せるのか、あとから差し替えられるのかが分からない
  • 同僚が読む。 社外向けのつもりでも、いちばん熱心に読むのは社内の人です
  • 辞めたあとも残るのか。 転職したときに、前の会社のページに自分の顔が残り続けるのか
  • 話しすぎたかもしれない。 盛り上がって話したことを、あとから消せるのか

これらは、聞かれなければ言いません。ですから、取材の前にこちらから3つ伝えます。どこに載るか。いつまで載せるか。公開後に直せるか。この3つが先に分かっていると、当日の話し方が変わります。

本人が判別できる写真は、個人情報にあたります。個人情報保護委員会は、会社の行事で撮影した写真を本人以外に見せる場合について、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たることもあるため、展示する期間を限定したり、不特定多数の人へ提供するときは自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましい、と説明しています。ウェブサイトへの掲載は、まさに不特定多数の人が見られる状態に置くことです。同意は口頭だけで済ませず、いつまで載せるかとあわせて文面で残しておくと、担当者が代わったときにも困りません。

自分で書くか、頼むか。見るところは3つ

インタビュー記事の制作を外に出すかどうかは、書く力があるかどうかでは決まりません。見るのは次の3つです。

  1. 社内に、読んで判断する人がいるか。 書く人より先に、これでいいと決められる人がいないと、原稿は往復し続けます
  2. 何本作るか。 1本だけなら自社でも回ります。定期的に出すなら、質問と進め方の型を作っておくほうが早くなります
  3. 相手が社内か社外か。 関係が近いほど話は深くなりますが、言いにくいことは出てきません。踏み込んだ話が要る場面だけ、間に人を入れると変わります

頼み方は、全部任せるか自分でやるかの二択ではありません。取材代行として当日の聞き取りだけを頼む、文字起こしだけを外に出す、取材は自社でして原稿だけ頼む、写真だけカメラマンに頼む。どこが自社にとって重いかで切り分けられます。時間が足りないのか、聞き出せないのか、書けないのか。詰まっている場所によって、頼む先が変わります。

費用の考え方と、外注するときに先に伝えておくことは、導入事例の作り方に書いてあります。

弊社がインタビュー記事の制作でしていること

社員紹介や取材記事の制作では、代表の鎌田が取材と執筆の中心にいます。外部の媒体では、執筆者として名前と顔写真が出ている記事があり、発注先を探すサービスの編集部ライターとしても紹介されています。どんな書き手かは、弊社の説明よりも掲載ページを見ていただくほうが早いので、記事・コンテンツ制作に実物へのリンクを置いています。

壱工房様では、カメラマンと一緒に作業場へ入り、鎌田がインタビューを担当して動画まで作りました。同じ取材から記事と動画の両方を作れると、1回お時間をいただくだけで残せるものが増えます。

Googleがサイトを作る人向けに公開している文書には、コンテンツが実体験や深い知識を示しているか、著者が誰であるかを明確にしているか、という項目が並んでいます。書き手が自分で確かめるための問いとして挙げられているものです。インタビュー記事は、その会社の中にしかない話を一次情報(※)として外に出す作業です。だから弊社は、取材の前に「何を残すか」を決めるところから一緒に入ります。

※一次情報:他から引き写したものではなく、自分たちが直接見聞きした情報のこと。

インタビュー記事の書き方についてよくある質問

録音の文字起こしに、AIのツールを使ってもいいですか

使えます。1回目の文字起こしは道具に任せて構いません。ただし、誤変換は残りますし、社名や専門用語ほど間違いやすいです。印をつける2回目のときに、使う部分だけ録音と突き合わせてください。要約まで任せると、相手が使った言葉が消えて、どこにでもある文章になります。

質問リストは、事前に相手へ送ったほうがいいですか

相手によります。社外の方や、数字を確認してもらう必要がある取材では、送っておくと当日が早く進みます。一方で、その場の反応を残したい取材では、全部は送らず、テーマと当日の流れだけ伝える形もあります。送る場合も、この通りに聞くとは限らない、と一言添えておくと窮屈になりません。

取材の時間は、どのくらい取ればいいですか

記事1本なら60分が目安です。30分だと、話がほぐれてきたところで終わります。逆に90分を超えると、後半の話は使わないことが多いです。相手の負担にもなるので、長く取るより、聞く範囲を絞るほうがうまくいきます。

顔写真を出したくないと言われました。記事は成立しますか

成立します。手元や作業中の様子、後ろ姿、道具や現場の写真でも記事は作れます。イニシャルや部署名だけの表記にする方法もあります。写真を条件にして取材そのものを止めるより、出せる範囲で作るほうが結果的に続きます。

記事に載せた社員が退職しました。その記事はどうすればいいですか

取材の前に、いつまで載せるかを決めておくのがいちばん楽です。決めていなかった場合は、本人に連絡して、そのまま残す、氏名と写真だけ外す、公開をやめるのどれにするかを聞きます。本人から取り下げの希望があった場合は、応じるのが原則です。

話すのが得意な人が社内にいません。それでも記事になりますか

なります。まとまった話を引き出すのは、こちらの仕事です。答えが短いときは、抽象的な質問をやめて、いつ、どこで、誰と、何をしたかという事実だけを聞いていきます。事実が並べば、その人の考え方は文章の中に自然に出てきます。話が上手いかどうかと、記事が読まれるかどうかは別の話です。

まとめ:取材の前に、1文だけ書いておく

インタビュー記事の書き方を、取材の前、当日、原稿にするまでの順で見てきました。今日やることを1つだけ選ぶなら、次の取材の前に1文だけ書いてみてください。「誰が、読んだあとに何と思えばいいか」。この1文があると、質問はそこから逆算できます。

当日は最後の10分をあけておくこと、録音は3回に分けて通すこと、話してもらった言葉は相手のものとして扱うこと。取材記事の書き方として覚えることは、実のところそれほど多くありません。この3つが守れていれば、初めてでも記事の形にはなります。取材の日程だけ決まっていて質問が固まらない段階でも、誰に読ませたいかが分かれば、そこから一緒に組めます。

参考にした公式情報

法律の扱いは状況によって変わります。個別の判断が必要な場合は、専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

SEOを専門に8年以上、上場企業を含む全国のクライアントのWebマーケティングを支援。オンライン受発注サイトでは、454件すべてが「満足」評価(「残念」0件、2026年8月確認)。SEO・LLMO/AIO対策、ホームページ制作を通じて、中小企業のWeb集客と問い合わせ獲得を支援しています。

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