中小企業のLINE公式アカウント活用。始め方と続けられる運用の形

LINE公式アカウントは、開設にも、友だちが少ないうちの配信にも費用がかかりません。難しいのは始めることより、続けることです。
作ったまま止まっているアカウントには、だいたい同じ経緯があります。開設した週に何通か送り、次に何を書けばいいか決まらないまま月が変わり、気づくと最後の配信が半年前。続かなかったのは怠慢ではありません。「何を、どのくらいの間隔で送るか」の型を決めないまま始めると、配信のたびに文章をゼロから考えることになり、本業の合間には重すぎるからです。
この記事は、LINE公式アカウントを集客に活用したい中小企業に向けて、向いている会社の見分け方、開設から友だち追加の入口までの始め方、そして配信を3つの型と月2回に絞った続けられる運用の形を順番に書きます。あわせて、ホームページや地図との役割分担と、友だち数より先に数えるべきものにも触れます。
LINE公式アカウントが向いている事業は、3つの条件で見分けられます
LINEが集客の道具として力を出すのは、お客様が「もう一度」自社と接点を持つ理由がある事業です。次の3つのどれかがあるかどうかで見当がつきます。
- 再来店がある:飲食店、美容室、整体院、教室、小売店など。次回の来店を思い出してもらう場面がある
- 予約がある:治療院、サロン、歯科、修理・点検、レッスンなど。空き状況や予約の変更を伝える場面がある
- 相談がある:リフォーム、士業、保険、住宅、法人向けの設備やサービスなど。すぐには決まらない検討を、ゆるくつないでおく場面がある
1つでも当てはまれば、LINE公式アカウントは活用の余地があります。逆に、一度きりの取引が中心で次の接点が想定しにくい事業(観光客向けの単発サービス、遠方からの一回限りの受注など)は、友だちが増えても配信する用件が生まれません。この場合は、ホームページと地図の整備を先にしたほうが、同じ労力で集客に近づきます。
もう1つ、見落としやすい条件があります。返信できる人がいるかどうかです。LINEはお客様から話しかけられる道具でもあるので、届いた相談を誰がいつ見るかが決まっていないと返信が遅れ、電話に出ないのと同じ印象を残します。担当者を1人決めて、営業時間内に返す。この体制が組めるなら、友だちが少なくても始める価値があります。
始め方。開設から友だち追加の入口まで、5つの順番で
「公式LINEの使い方」で検索すると機能の一覧が並びますが、店舗や小さな会社が最初に必要なのは、次の5つです。LINE公式アカウントはLINEヤフーのサイトからその日のうちに無料で開設できるので、この順番で1つずつ進めると迷いません。
- 開設する。 会社名か店名でアカウントを作ります。名前は正式名称にしておきます(次に説明する認証の申請後は、名前を変えられません)。
- 認証済アカウント(※LINEヤフーの審査を通ったアカウント。名前の横に緑のバッジが付きます)を申請するか決める。 申請も利用も無料で、審査に5〜10営業日かかります。認証済になると、LINEアプリ内の検索で店名が出るようになり、店頭用にLINEのキャラクター入りのポスターが選べます。店舗や来院型の事業なら、先に申請しておくと後の手間が減ります。紹介や既存のお客様が中心の法人向け事業なら、後回しでも困りません。
- あいさつメッセージを1本用意する。 友だち追加の直後に自動で届く文章です。何を送るか、返信は営業時間内であること、予約や相談はどのボタンからか。この3点を短く書きます。返信の時間帯を書いておくと、深夜に届いた相談へ翌朝返しても失礼になりません。
- リッチメニュー(※トーク画面の下に固定で出るボタンのメニュー)を1つだけ作る。 ボタンは2〜3個あれば動きます。予約または相談、営業時間と地図、ホームページ。配信を読んだ人がそのまま行動できる行き先がそろっていれば、凝ったデザインは要りません。
- 友だち追加の入口を、店頭とホームページの2か所に置く。 管理画面の「友だち追加ガイド」から、QRコード、URL、ホームページに貼るボタンが作れます。店頭にはQRコード、ホームページにはボタン。入口ごとに追加経路を分けて設定しておくと、増えてきたあとで、どこから増えたかを見られます。
全部を一度に整えなくて大丈夫です。まず1と3と5を済ませて、認証とリッチメニューは翌週でも間に合います。
入口を置いたあとは、増やす順番だけ決めておきます。まず会計や施術の終わりに一言添えて、その場で登録してもらう。次に名刺や領収書、店内の掲示にQRコードを載せる。特典を付けるのは、この2つをやってからにします。
料金は、友だちが少ないうちは0円で足ります
料金プランは3つあり、違いは月に無料で送れるメッセージの通数です(LINEヤフー公式ページを2026年9月2日に確認。税別)。
| プラン | 月額と無料メッセージ通数 |
|---|---|
| コミュニケーションプラン | 0円・月200通まで |
| ライトプラン | 5,000円・月5,000通まで |
| スタンダードプラン | 15,000円・月30,000通まで(超えた分は使った分だけ課金) |
通数は「送った回数×送った友だちの数」で数えます。友だちが100人なら、月2回の配信で200通。無料プランの枠にちょうど収まります。お客様との1対1のチャットの返信や、あいさつメッセージ、自動応答は通数に含まれません。相談の返信で枠を使い切る心配はいりません。
無料プランで200通を超える配信はできず、超えるときはプランを上げる必要があります。友だちが増えて枠が足りなくなってから上げれば間に合います。なお、スタンダードプランの追加メッセージの単価は2026年10月1日に改定される予定なので、大量の配信を考える段階になったら、その時点の公式ページを確認してください。
続けられる運用の形。配信は3つの型に絞って、月2回
配信が続かない原因のほとんどは、ネタ切れではありません。毎回「何を書くか決めるところ」から始めているからです。だから先に型を決めます。弊社がお客様にお渡ししている型は、お知らせ・季節・空き枠の3種類です。

お知らせ型。 営業日の変更、新しいメニュー、価格の改定、担当者の交代など、事実をそのまま伝えるものです。文章の工夫は要りません。「3月の定休日はこちらです」で1通になります。
季節型。 その時期にお客様が困りやすいことに合わせた案内です。冬前の点検、年度末の駆け込み、夏休み前の予約、決算期の相談。前年の同じ月に何を聞かれたかを思い出すと書けますし、業種ごとに1年分を並べると、たいてい半年分は最初の30分で埋まります。
空き枠型。 予約や相談の空き、キャンセルで空いた枠、締め切りの案内です。この型がいちばん反応が返ってきやすく、いちばん短く書けます。「今週木曜の午後に1枠空きました」。この一文で送れます。
頻度は月2回。月初にお知らせ型か季節型を1通、月の半ばに空き枠型を1通、という置き方です。この頻度なら書く負担が本業を圧迫せず、無料プランの通数にも収まり、受け取る側にも重くありません。毎週送らないと忘れられる、と心配される方もいますが、実際に先に起きるのは、多すぎてブロックされることです。
配信を作るときの決まりは、1通に用件は1つ、最後に行き先(予約ページ、相談のボタン、地図のどれか)を1つ付ける、送る日と時間を毎月固定する。この程度にしておきます。用件が2つあれば次回に回します。
返信は営業時間内に、担当者が自分の言葉で返します。夜に届いた相談は翌朝で構いません。あいさつメッセージに返信の時間帯を書いておくのは、このためです。
ホームページ・地図・LINEの役割分担
LINEを始めた会社が次につまずくのが、LINEに何でもやらせようとすることです。3つの道具は、出会う相手が違います。
- ホームページは、初めて自社を調べる人が、頼めるかどうかを判断する場所。検索から来る人に、サービス、料金の考え方、事例、会社の顔を見せます
- 地図(Googleマップ)は、いま近くで探している人と出会う場所。営業時間、写真、口コミが最新であることが仕事です(仕組みはMEO対策とは?Googleマップで見つけてもらう仕組みに書いています)
- LINEは、一度接点を持った人と、もう一度つながる場所。Googleなどの検索結果には出ないので、新しい人を連れてくる力はほとんどありません
つまりLINEは、入口というより受け皿に近い道具です。ホームページか地図で見つけてもらい、店頭かサイトで友だちになってもらい、そのあとをLINEがつなぐ。この順番が崩れて、ホームページを放置したままLINEの配信だけ頑張ると、友だちが増えないので配信の相手もいない、という状態になります。美容室やサロンについては、美容室・サロンの集客の入口と役割分担に予約サイトを含めた形でまとめています。
役割分担の実物として、弊社が制作した合同会社壱工房様のホームページを挙げます。大工直営でリフォームと木造小屋を手がける会社で、お客様の多くは、いくらかかるか分からない、言葉では説明しにくい、という状態で来ます。そこでLINE相談には現場の写真を任意で添えられるようにし、正式な見積もりは現地を確認してから、という線引きもサイトに書きました。写真があると最初のやりとりが短くなります。費用の目安だけ知りたい方には名前を聞かない見積もり診断、すぐ話したい方にはフォームと電話。ホームページが選ばれる理由を見せ、LINEが相談の敷居を下げる。広告や動画からも同じ相談導線につなげています。
地図での見え方を測る手順は、MEOの順位チェックの正しいやり方に書きました。
計測で数えるのは、LINEから来た予約と相談の件数
LINEの管理画面を開くと、友だち数が最初に目に入ります。増えていると安心しますし、減っていると気になります。ただ、この数字は集客の成果とは別のものです。友だちが増えても予約や相談が増えていなければ、配信は届いていても行動につながっていない、ということになります。
数えるものは、まず2つです。
- どこから友だちが増えたか。 店頭のQRコードか、ホームページのボタンか。入口ごとに追加経路を設定しておけば、管理画面の分析でどの入口から来たかが見られます(入口ごとに月20件ほど増えるまでは数字が出ない仕様なので、それまでは友だち数の月ごとの増減だけを見ます)
- LINE経由の予約・相談が何件あったか。 これは管理画面には出ません。予約台帳や相談の記録に「LINEから」と書く欄を1つ足して、月末に数えます
この2つを月に1回、同じ日に見れば、配信を変えるべきか、入口を増やすべきかの判断ができます。数字を流れでつなげて読む考え方は、Webマーケティングの分析は何を見る?数字のつなげ方と改善の優先順位に書いています。
弊社が広告と計測を支援している札幌はるかぜ治療院様では、問い合わせを1つの件数にまとめず、広告の表示・クリック、サイト内の電話・LINEボタンの反応、実際の問い合わせ・予約、来院・継続の4段階に分けて数えています。LINEのボタンが押された回数と、実際に予約が入った件数は別の数字です。ここを混ぜないことが、計測のいちばんの要点です。
LINE公式アカウントの構築・運用で、弊社が引き受けている範囲
放置されたアカウントの立て直しから新規の開設まで、LINE構築・運用支援で引き受けている範囲は、必要なところに絞っています。順番はこの記事と同じです。向いている事業かどうかと返信の体制を確認し、リッチメニューと友だち追加の入口を整え、お知らせ・季節・空き枠の型で配信の予定表を作り、LINE経由の予約・相談が数えられる状態にする。配信数を増やすこと自体を目的にせず、必要な人に必要な案内が届いているかを見ます。
配信文の作成だけ、リッチメニューの見直しだけ、といった部分的なご相談も受けています。予約の受付が中心の業種であれば、弊社が開発・運営している予約管理サービス(ReCatch)の予約ページをリッチメニューに貼る形もご案内できますが、すでに予約システムをお使いなら、それを前提に進めます。
中小企業のLINE公式アカウント活用についてよくある質問
友だちが数十人しかいません。配信する意味はありますか
あります。その数十人は、一度は自社を選び、しかも自分から登録した人です。月に2通、空き枠やお知らせを届けるだけで、次の予約や相談の思い出し役になります。友だちを増やす活動は、この配信が回り始めてからで間に合います。
認証済アカウントにしないと使えませんか
未認証でも、配信、チャット、リッチメニューは使えます。認証を申請してもQRコードとIDは変わらないので、先に配ったQRコードはそのまま使えます。店舗型なら早めに申請しておくと、LINEアプリ内の検索に店名が出ます。
配信を増やすとブロックされますか
頻度より中身です。用件のない配信や売り込みだけの配信が続くとブロックされます。回数が少なくても、お知らせ・季節・空き枠のどれかに当てはまる用件があれば、弊社が見てきた範囲では、ブロックは目立って増えていません。ブロック数は管理画面で見られるので、配信を変えた月に増えたかどうかを確認しておくと安心です。
代表や店長の個人のLINEでお客様とやりとりしています。公式アカウントに移すべきですか
移すことをおすすめします。個人のLINEだと、担当者が休みの日に返信が止まり、退職や機種変更で履歴ごと失われます。公式アカウントなら複数人で返信でき、やりとりが個人の端末ではなく会社のアカウントに残ります(標準では一定期間で見られなくなるので、残したい内容は控えを取ります)。移すときは、あいさつメッセージに「今後はこちらで承ります」と書き、店頭とホームページの入口を新しいQRコードに差し替えれば済みます。
クーポンやショップカードは付けたほうがいいですか
後でいいと思います。先に必要なのは、リッチメニューの予約・相談のボタンと、型を決めた配信です。クーポンは値引きの習慣を作ることがあるので、再来店の理由が値引きしかない状態にならないよう、使うなら空き枠型の配信に限って添える程度にとどめます。
自動で配信を出し分ける有料の外部サービスは必要ですか
友だちが数百人までなら、標準の機能で足ります。段階的な自動配信や細かい出し分けは、配信の型が固まり、LINE経由の予約・相談が数えられるようになってから検討する順番です。先に仕組みを入れると、配信の中身が決まらないまま設定だけが増えます。
まとめ:最初の1通は、来月の営業日のお知らせで十分です
LINE公式アカウントで大事なのは、2か月目にも配信が続いているかどうかです。向いている事業かどうかと返信の担当者を確認し、リッチメニューを1つと入口を店頭とホームページに1つずつ用意して、お知らせ・季節・空き枠の3つの型で月2回配信し、LINEから来た予約と相談の件数を数える。ここまで決まれば、文章を考える時間はほとんど要りません。
作ったまま止まっているアカウントがあっても、同じところから再開できます。来月の定休日が決まったら、それが最初の1通です。2通目が出た月に、このアカウントは動き始めています。
参考にした公式情報
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン|選べる3つのプランを詳しく解説」(2026年9月2日確認)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの「認証済アカウント」とは?」(2026年9月2日確認)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント – 友だち追加ガイド」(2026年9月2日確認)
- LINEヤフー for Business「リッチメニューを作成するマニュアル」(2026年9月2日確認)
- LINEヤフー for Business「【重要:再掲】LINE公式アカウント 追加メッセージ料金改定のお知らせ」(2026年9月2日確認)
