Webマーケティングの分析は何を見る?数字のつなげ方と改善の優先順位を、自社の実例つきで解説

「Webマーケティング 分析」と検索している方の多くは、数字が手元にない状態ではなく、「数字はあるのに、何を直せばいいか分からない」状態にいるのではないでしょうか。アクセス解析の画面を開いて、グラフを眺めて、そっと閉じる。数字は増えたり減ったりしているのに、次にやるべきことは、画面のどこにも書いていません。
弊社にご相談いただく中小企業の経営者の方も、最初はほとんど同じ状態です。そして原因もほぼ共通しています。道具が足りないのでも、勉強が足りないのでもありません。バラバラの場所にある数字を、1本の流れにつなげて読む型を持っていないだけです。
この記事では、Webマーケティングの分析を「検索で見つかってから、仕事になるまで」の流れで読む方法を解説します。途中で、弊社自身のサイトの実際の数字を使って、読み方をそのまま実演します。読み終わる頃には、自社のどこが止まっているのか、次にどこを直すのかを、自分の言葉で言える状態を目指します。
分析が難しいのは、数字が多いからではなく「つながっていない」から
Webマーケティングの数字は、道具ごとに別々の場所に保管されています。
- 検索でどう見られたかは、Search Console(※Googleの無料ツール。自社サイトが検索結果に何回表示され、何回クリックされたか分かります)
- サイトの中でどう動いたかは、GA4(※こちらもGoogleの無料ツール。どのページが読まれ、どのボタンが押されたかを記録します)
- 広告の反応は、広告サービスの管理画面
- そして実際の問い合わせは、メールの受信箱や電話メモの中
どれも正しい数字ですが、置き場所も単位も意味も違います。だから「アクセスは増えているのに、問い合わせが来ないのはなぜ?」という、数字と数字の間をまたぐ質問に答えられなくなるのです。
分析とは、この散らばった数字を、お客様の動きに沿って1本に並べ直す作業です。並べる順番は、どの業種でもほぼ変わりません。
- 見つかる:検索や広告や紹介で、会社を知ってもらう
- 読まれる:検索結果や広告から、サイトに来てもらう
- 選ばれる:サービス内容や事例を読み、相談する候補に入る
- 問い合わせが届く:フォームや電話で、実際に連絡が届く
- 仕事になる:相談が商談になり、受注につながる

この5段階のどこで止まっているかが分かれば、直す場所はほぼ決まります。逆に、ここが分からないまま「記事を増やす」「広告費を増やす」「サイトを作り直す」と手段から入ると、止まっている場所と違うところにお金と時間を使ってしまいます。
分析の前に10分だけ、「何を問い合わせと数えるか」を決める
数字を見始める前に、ひとつだけ決めておくことがあります。それは「この会社にとっての問い合わせとは何か」です。
よくあるのが、こんな状態です。広告の管理画面では今月の成果が10件。ところが、受信箱に届いた問い合わせメールは4件。差の6件の中身を確かめると、営業の売り込みメール、同じ方の二重送信、そして「送信前の確認画面を開いただけ」の記録でした。どれも珍しいことではなく、設定を見直すまで気づかない会社がほとんどです。
そこで、次の3つを先に決めます。
- 数える行動:フォーム送信、電話、LINEなど、どれを問い合わせと呼ぶか
- 数えない連絡:営業メール、採用の売り込み、既存のお客様からの連絡は分けて数える
- 正とする場所:件数は受信箱と電話メモを正とし、管理画面の数字は補助として使う
ここを飛ばすと、この後に見るすべての数字が少しずつずれます。「改善したはずなのに成果が減って見える」という相談の原因が、施策ではなく数え方だった、ということは本当によくあります。
弊社サイトの実例で、数字を流れで読んでみる
ここからは、実際の数字で読み方を実演します。使うのは、弊社自身のサイト(suzulabo.co.jp)の2026年7月時点の数字です。
先にお断りしておくと、これは成果の紹介ではありません。弊社がサイトを本格的に立て直し始めて、まだ数か月の途中経過です。ただ、小さい数字だからこそ、多くの中小企業のサイトと同じ条件での読み方をお見せできると考えています。
直近28日間(2026年7月1日〜28日)を、その前の28日間と比べた数字です。
- 検索結果に表示された回数:約230回 → 約1,270回(5倍強)
- 検索結果でクリックされた回数:17回 → 37回
- 新しく公開したブログ記事のクリック:ほぼ0回
- 最も多く表示されたSEO支援のサービスページ:679回表示されて、クリックは1回
この数字を、先ほどの流れに当てはめて読みます。
まず「見つかる」は動き始めています。表示回数が5倍になったのは、ページを増やし、内容を整理してきた結果が検索結果に載り始めたということです。ただし、ここで「伸びた」と喜んで終わるのが、いちばんもったいない読み方です。
次の「読まれる」で、はっきり止まっています。679回も見つかっているのに1回しかクリックされていないページがある。原因の候補は2つです。ひとつは、順位がまだ低く、検索結果の2ページ目以降に表示されているため、目に入ってもクリックされにくいこと。もうひとつは、検索結果に出る見出しの文章が、探している人の言葉と合っていないことです。
そこで弊社の判断は、「新しい記事を足す手を一度止めて、すでに679回見つかっているサービスページの見出しと中身を先に直す」でした。まだ誰にも見つかっていないページを増やすより、毎日見つかっているのに素通りされているページを直す方が、問い合わせに近いからです。
なお、この数字には公開から数週間しか経っていないページが含まれます。検索の評価は数か月単位で動くため、この時点で施策の良し悪しは断定せず、次の28日間を同じ物差しで見て判断を更新します。
この読み方は、お客様の支援でも同じです。人材育成研修の株式会社キャリアチアーズ様では、約20本の記事づくりを積み重ね、主力記事が検索1位になり、その1本だけで月319回の訪問につながりました。このときも、判定に使ったのは順位そのものではなく、訪問と問い合わせがどう変わったかです。
自社の数字で分析する5つの手順
実演した読み方を、自社でなぞるための手順です。
手順1. 増やしたい問い合わせを1つ決める
「問い合わせ全般」ではなく、法人からの相談、来店予約、資料請求など、いちばん増やしたい行動を1つ選びます。前の章で決めた「数える・数えない」の線引きも、ここで一緒に確認します。
手順2. 流れのどこで止まっているかを探す
Search Console、GA4、受信箱の数字を「見つかる→読まれる→選ばれる→届く→仕事になる」の順に並べ、最初に細くなる場所を探します。よくある状態と確認する場所は、次のとおりです。
| よくある状態 | 先に確認すること |
|---|---|
| そもそも表示が少ない | 狙うテーマのページが存在するか、検索に登録されているか |
| 表示は多いのにクリックが少ない | 検索結果に出る見出し・説明文が、ページの中身や検索の言葉と合っているか |
| 訪問はあるのにサービスページが読まれない | 記事や他ページからサービスへの案内が用意されているか |
| サービスページは読まれるのに連絡がない | 料金の考え方、事例、進め方、担当者の情報が書かれているか |
| フォームは開かれるのに送信されない | 入力項目の多さと、スマートフォンでの送信テスト |
| 問い合わせは来るのに仕事にならない | 問い合わせの中身と、サイトで見せている対象・内容のずれ |
手順3. 直す場所を1つに絞る
見つかった課題を全部同時に直そうとしないことが大切です。問い合わせへの近さと、直す手間を見比べて、まず1か所だけ選びます。弊社の例なら「679回表示で1クリックのページ」が最優先でした。
手順4. 28日単位で、同じ物差しで見比べる
直したら、直近28日と前の28日のように、同じ長さの期間で見比べます。曜日の偏りや連休の影響を受けにくくなり、週ごとの細かい上下に振り回されずに済みます。
手順5. 変えた日と内容をメモに残す
「いつ、どのページの、何を変えたか」を一覧にしておきます。数字が動いたときに理由を特定できる、唯一の方法です。地味ですが、分析の精度はこのメモの有無でいちばん変わります。

競合と比べるときは、順位ではなく「判断材料」を見る
Webマーケティングの競合分析というと、検索順位やデザインの比較を思い浮かべる方が多いのですが、見るべきものは少し違います。検索したお客様が会社を選ぶときに使う「判断材料」が、競合にあって自社にないものは何か、です。
- 料金の考え方や目安を説明しているか
- 事例と担当者の顔が見えるか
- 問い合わせる前の不安(進め方、期間、頼めないこと)に答えているか
- 検索結果から問い合わせまでの道のりが短いか
これは、3C分析(※顧客・自社・競合の3つの視点で状況を整理する、定番の考え方)と呼ばれる方法の実践版です。名前を知らなくても、この3つを見比べれば実質的に同じことができます。フレームワークは仮説を整理する棚であって、きれいに埋めること自体が目的ではありません。
弊社が競合分析で最後に確認するのは、Webの中ではなく現場です。取材でうかがったお客様の声や、選ばれた本当の理由の中に、まだどの会社のサイトにも書かれていない判断材料が残っていることが多いからです。それを先にページへ載せた会社が、比較の場面で選ばれます。
分析でよくあるつまずき3つ
アクセス数だけで一喜一憂する
訪問が月1万件あっても、対象のお客様でなければ問い合わせは0件のままです。数の増減より先に、「誰が、どんな言葉で検索して来たのか」を見ます。
平均の数字にだまされる
平均掲載順位が下がると悪化に見えますが、新しい言葉で表示され始めると、低い順位が混ざって平均は自然に下がります。弊社の7月がまさにこれで、表示が5倍に増えた分、平均順位は下がりました。合計や平均ではなく、ページと検索語に分けて見ます。
レポートを作って終わる
分析の完成形は、きれいな資料ではありません。「誰が、いつまでに、どのページの何を直し、いつの数字で判定するか」という1行です。ここまで決まって、はじめて分析が仕事になります。
自社でやるか、外部に頼むかの分かれ目
次の3つがそろっていれば、この記事の手順で自社分析を始められます。
- 増やしたい問い合わせを自分たちで決められる
- 月1回、数字を見る時間を確保できる
- 見つかった課題を、自分たちでサイトに反映できる
一方、こんな状態なら、外部の目を入れる方が早く進みます。
- 制作会社、広告会社、記事の外注先が分かれていて、全体を見る人がいない
- 管理画面の成果と、実際に届いている問い合わせの件数が合わない
- 改善候補が多すぎて、どれから手を付けるか社内で決められない
外部へ頼む場合は、レポートの枚数ではなく、「優先順位を、どの数字を根拠に提案してくれるのか」「自社で直せる部分と、依頼が必要な部分を分けて示してくれるのか」を確認してください。
弊社のWebマーケティング横断診断では、検索、サイト内の動き、広告、問い合わせまでの数字を1本の流れでつなぎ、今すぐ直すこと、後で検証すること、今は不要なことに分けてお渡しします。そのうえで、SEO対策、Web広告運用、ホームページ制作・改善を一律にお勧めすることはしません。社内で直せる部分、いまの取引先に頼む部分、弊社がお手伝いする部分を分けてご案内します。
まとめ:分析は特別な技術ではなく、見る順番
Webマーケティングの分析は、たくさんの数字を集める作業ではなく、「見つかる→読まれる→選ばれる→問い合わせが届く→仕事になる」の流れで、止まっている場所を1つ見つける作業です。
今日から始めるなら、次の3つで十分です。
- 何を問い合わせと数えるかを決める
- Search Consoleで、直近28日と前の28日の表示回数・クリック数を見比べる
- 止まっている場所を1つ選び、直す内容と、判定する日を決める
SEOの進め方は札幌のSEO対策の始め方、広告の予算はリスティング広告の費用でそれぞれ詳しく解説しています。読んでも自社のどこが止まっているのか判断がつかないときは、現状の数字を拝見するところからお手伝いします。
よくある質問
分析はどのくらいの期間で判断すればよいですか?
28日単位など、同じ長さの期間で見比べるのが基本です。検索まわりは反映に時間がかかるため、公開・修正から数週間〜数か月の幅で見ます。1週間ごとの上下で施策の良し悪しを決めないことが大切です。
アクセスが少なくても分析できますか?
できます。訪問が少ない段階では、サイト内の数字より先に「検索に登録されているか」「どんな言葉で表示されているか」を確認します。数字が少ないうちは断定を避け、次に何を計測するかを決めることが分析になります。
Search ConsoleとGA4は両方必要ですか?
役割が違うため、両方あると流れがつながります。Search Consoleは検索結果に出てからサイトに来るまで、GA4はサイトに来てから問い合わせに進むまでを記録します。どちらも無料で使えます。
無料ツールだけで分析できますか?
中小企業のサイトであれば、Search Console、GA4、受信箱の照合で十分に始められます。競合の詳しい調査や広告の細かい検証が必要になった段階で、有料の専門ツールや外部の診断を検討すれば大丈夫です。
競合分析は何社くらい見ればよいですか?
数を先に決めるより、検索結果で実際に上に出てくる会社と、お客様が相見積もりで比べる会社から数社ずつ選びます。順位ではなく、料金説明・事例・問い合わせやすさなどの判断材料を見比べてください。
分析だけを依頼して、改善は自社で行えますか?
可能です。依頼する前に、課題の一覧だけでなく、優先順位とその根拠、自社で対応できる項目と外部に頼む項目の切り分けまで納品されるかを確認してください。
